イルカのコミュニケーション方法として超音波が知られています。
イルカは、長い間水中で暮らしていることにより目が退化し、目視よりも聴覚(超音波)で周りの状況を把握することに特化してきました。
この超音波を「エコーロケーション」と言います。
このエコーロケーションで、仲間とのコミュニケーションや餌の位置や大きさなどの把握、周囲の地形や状況も確認することが出来ます。
はては人間の健康状態まで分かってしまうというのですから、かなり万能なコミュニケーション・ツールですよね。
このツールの使い方は、頭の上にある噴気孔内にある器官を震わせて出した「クリック音」(エコーロケーションに使われる声)を、前頭部にある「メロン器官」という脂肪組織に集め、そこから発した超音波に対して(物体にぶつかって)帰ってきた反響音を今度は下顎の骨でキャッチし認識します。
簡単に言うと「骨伝導」によって正確にその反響音を受け取るのです。
このキャッチできる音の幅は、人間が20~20,000Hzなのに対して、イルカは150~150,000Hzと言われています。(数字が高くなるにつれて音も高くなります)
つまり、私たちの7倍以上の音をイルカたちは聞くことができるのです。
まれに聞こえるイルカのギュッギュッという声は、このクリック音のうち人間に聞き取れる範囲だけの音となり、実際に発せられている音は全然違う音色だと言われています。
また、このクリック音の他にも2種類の声の存在も分かっています。
ホイッスル音
私たちが一番イメージしているイルカの声ではないでしょうか。
人間に聞き取りやすい高さの超音波で、キューキューと高い音で鳴いているように聞こえますが、実はイルカたちにとってはとても低い音を出しています。
バーク音
興奮や威嚇の声です。
様々な周波数を重なり合わせて音を出しており、私たちにはギギギという声で聞こえます。
このエコーロケーションという方法を使い、イルカたちは文字通り人間などの生物を「見透かして」しまいます。
人間には見えない傷ついた心も理解し、弱った生物に対して自ら近づき助けようと行動する優しい心も持っています。
その特性を活かし、イルカテラピーというものも存在していて、日々研究も進められているのです。